恋は盲目〜好きって言ってよ

「な、なんでそうなるの⁈無理やりキス

してきたのはあなたじゃない⁈」


「無理やり⁈…同意だと思っていたけど

ね。あんなに…うぐっ」


慌てて彼の口を両手で塞ぐが彼の手が私

の手をほどいていく。


にやりと笑う彼。


「別にいいけどね。さっさと帰ろ…最終

に間に合わない」


優しく私を促す。


でも…


「なに⁈」


「ううん、なんでもない」


店を出てから何も言わずどんどん歩いて

行く。


そんな彼の後ろについて着いたばかりの

電車にギリギリ間にあった。


最終電車に乗り遅れることなくホッとし

てみだれた息を整えてるとなぜか彼の顔

は怒っている。


なぜ、そんなに怒っているの?


「ちっ…なんで、そんな格好してるんだ

よ」


舌打ちし、つぶやく彼。


なんで、そんな事を言われないといけな

いの⁈


下駄だから歩きにくくて、仕方ないじゃ

ない…そう思うと叫んでいた。


「これでも、一生懸命歩いたんだから…

先に行けばよかったでしょう」


「はー、何言ってんだよ。意味わかんね

って」


「わからなくて結構よ」


彼に背を向けて溢れる涙を我慢する私。


駅のホームに出ると彼を置き去りにして

歩いて行く。


「待てよ」


追いかけてくる彼。


「駅に着いたし自分のペースで歩いて帰

るから…さ・よ・う・な・ら」


彼の顔を見ずに歩く私。


なんなの⁈


一緒に帰ってほしいなんて頼んでないの

になぜ、怒っているの⁈


彼の自分勝手な行動に怒りたいのは私な

のに…


「待てよ。何、怒ってるんだよ」


「……」


追いかけてくる彼が無言で歩く私の手と

り捕まえる。


「待てって言ってるだろう」


顔を覗き込みため息をつく彼。


「何怒ってるのかわからないけどそんな

格好で歩いてたら危ないし送って行く」


「いいって、大丈夫だから…ほっといて

よ」


「俺がよくない…ほら、行くぞ」


手を繋ぎ直して歩いて行く。


反論したいのに彼の指が指に絡んでドキ

ドキする…これって恋人つなぎ…なの⁈


怒っていたのは、あなたじゃない⁈


そう言いたいのに繋いだ手が全部消して

しまう…さっきまでの怒りがどこかに…


優しかったり、意地悪だったりでわから

ない。

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