恋は盲目〜好きって言ってよ

やたらとテンションの高い彼女。


俺以外をかっこいいなんて面白くない。


お願いだから他の男を見ないでくれ…


「……珍しくあいつから乗り気でびっく

りしたんだけどね」


聞こえてくる飯島の声。


余計な事を…


まるで俺が出会いを求めてるみたいじゃ

ないか。


俺がほしいのは奈々だけなのに、なぜお

前が彼女の横にいる。


面白くない。


協力者の飯島が奈々の視線を集めている

そんなお前が憎くなってきた。


「奈々ちゃん、俺のタイプなんだよね。

俺なんてどう?」


奈々ちゃんだと…気安く呼ぶな。


俺のタイプだと…俺から奪うつもりか?


何を考えている。


飯島を睨むと俺を見る飯島の目が笑って

いた。


俺の反応を面白がってる。


ちきしょう…いつか、仕返ししてやる。

ーー
ーーーー
ーーーーーー

一次会終了後


「拓海さん、一緒にカラオケ行きましょ

うよ。拓海さんの歌聞いてみたいな」


お店を出てカラオケに行こうと花村って

女が腕を組んできた。


「俺、あんまり歌得意じゃないんで…」


「え〜、そんなに素敵な声しているのに

そんな事言わないで行きましょうよ」


大きな目を見開きかわいい顔をしている

つもりなのだろうがどうでもいい。


「そうですか⁈初めて言われました」


答えながら彼女を探していると化粧室へ

入って行く彼女が見えた。


なんとかこの女から離れて彼女の側に行

きたいのに離れない。


チッ。


俺が、お前に興味がないことがわからな

いなんて…めんどうな女。


飯島がそっと俺に耳打ちする。


『奈々ちゃん、帰るらしいぞ』


彼女を捕まえるチャンス。


「用事あるんでみんなで楽しんで来てく

ださい」


理由をつけてこの女をその場で飯島に託

して彼女を追いかけた。


化粧室へと入って行った彼女を扉の外で

待っていたがなかなか出てこない。


何をしている⁈


遅すぎる。


終電に乗らないつもりなのか?


それとも、何かあったのか?


イライラが募る。


やっと出てきた彼女の目は少し赤くなっ

ていた。


泣いていたのか?


なぜ⁈


泣いていた理由がわからない。


泣きたいのは俺なのに…


合コンの間、一言も俺を見ようとせず話

かけてもこなかった。


あの日の事を思い出したくないのか?


俺は、どんなに会いたかったか。
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