恋は盲目〜好きって言ってよ
戸惑い
部屋で携帯を握りしめウロウロと落ち着
きのない私。
日がたつに連れてなかなか携帯のボタン
を押せずにいた。
今日こそは、連絡しようと決意し練習も
したのに彼の反応が怖くて押せない。
もう一週間前だと言うのにためらってい
る。
冗談だったら…
もう、他に別の誰かを誘っていたら…
誘った事を覚えていなかったら…
どんどん、悪い方向に考えが傾いてしま
う。
早くしないと夜の12時をわまってしまう
…3回…コールしても出なかったら電話
を切ろうと意を決してボタンを押した。
「トゥルル〜トゥ…」
ワンコール半で彼の声。
「もしもし、奈々ちゃん…だよね」
「…うん」
「一緒に花火大会に行く気になってくれ
た⁈」
「うん…」
久しぶりに聞く彼の声。
低く甘くささやく声に聞き惚れる。
「奈々ちゃん、どうしたの?」
「…どうして、私だとわかったの?」
「きっと毎日…奈々ちゃんの事を考えて
いたからかな…」
「…」
私だって毎日拓海さんのこと考えてた。
彼の予想外の反応に戸惑う。
きっと、からかわれてると思ってた。
その日から毎日、同じ時刻に彼から電話
がかかってくるようになった。
彼との会話は緊張するけど顔が見えない
から話やすくて彼との時間が楽しくて深
夜12時を過ぎてしまう。
そして、もう、遅いからと電話を切るも
どかしさ…
何度も勘違いしないようにと言い聞かせ
てきたのに、もう心をごまかせない。
あなたが好き…
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8月1日・花火大会当日