恋は盲目〜好きって言ってよ
話に夢中で俺たちが後ろにいるのも気づ
いていない。
早希の核心をつく言葉に自信無さげに話
を聞いている奈々。
まだ、彼女は不安なのか⁈
俺の思いを伝えるのにはまだ足りないの
か⁈
どうすればわかる⁈
「拓海、お前マジすごいな〜」
飯島の声で我にかえり意識を戻すと驚い
て目を見開いている女。
その目線は飯島に向いている。
よっぽどびっくりしたのか会話が途切れ
奈々も振り向いている。
そんな2人をよそに俺たちはイスに腰掛
け店員にビールを頼んだ。
「で、拓海はその甘いセリフをどんな顔
で言ってるの⁇」
『お前マジ、うざい。』
からかう飯島に心の声が漏れる。
「お前に話ことなんてないからな」
口を閉じる。
「拓海さん、奈々ったらその甘いセリフ
を言われてるのに自信がないみたいです
よ。この際、ここで奈々を安心させてあ
げて下さい」
女も調子に乗りだし俺を煽る。
だが、こいつらの前で好きだなんて言え
るか‼︎
後で、冷やかされるのが目に見えてる。
だから奈々の耳元で囁いた。
「2人きりになったら証明してやるよ」
真っ赤な顔で俺の顔を見る奈々。
(ぷっ、マジかわいい。覚悟しろよ)
唇にキスを落として奈々の手を取り飯島
を見ると薄笑で俺を見てニヤけている。
本当に、蹴り入れておけばよかったと後
悔した。
まぁ、こいつらがこれからどうなるかは
早希って女次第なんだが、飯島もこの女
を気に入ってるみたいでまだ、手を出し
ていないようだ。さて、邪魔者は退散す
るか。