恋は盲目〜好きって言ってよ
頭の中が真っ白になり浮遊感を感じてし
がみつくとふっと笑みを浮かべると彼は
、震える私を抱きしめ何度も優しく唇に
キスを落としていく。
彼の体の重みを感じ、そのまま気を失っ
た。
薄暗い中、目覚めると見知らぬ部屋だっ
た…狭いベッドの中、隣には裸の彼が寝
ている。
体を起こし溜め息が出る。
膝を抱えて寝ている彼を見ると、夢では
ないと実感する。
辺りを見渡すと玄関に向かって2人の服
が脱ぎ捨てあった。
こんなはずじゃなかったのに…
初めて会ったあの日に彼に惹かれていた
だけど、関わりたくなかった…
きっと、心のとこかで彼しか見えなくな
ると感じていたから…
藤原 拓海と言う名前だけしか彼の事を
知らない
それなのに、こんな大胆な自分がいたな
んて考えると赤面する。
この後、どうすればよいのかわからずに
ベッドから彼を起こさないようそっと抜
け出し、散らばっている服を順番に着て
いった。
ついでに、彼の服も拾いダイニングテー
ブルの上にたたんで置いてみた。
このまま、彼が目覚めるのを待っている
べきか?
それとも、このまま出て行くか?
悩んだ末、鞄から手帳を取り出しメモを
残して帰る事にした。
外は朝日が登り昨日の夜の土砂降りが嘘
のようだ。
行きずりの関係は、今回だけ…
彼に惹かれ拒まなかった。
突然のキス…彼を突き放せばそれ以上は
しなかっただろう。なのに、彼の唇が触
れた時彼にもっと触れたいと思ってしま
った。
彼なら、一夜でも抱かれたい…そう思う
程に彼に魅かれた。
一夜の幻…そう思わなければ彼に拒絶さ
れた時に立ち直れない。
だけど、淡い期待をしてしまう。
だから、メモを残して逃げ出した。
彼の反応が怖いから…
目が覚めて、隣に私がいなくてホッとす
る⁈
それとも私がいなくて追いかけて来てく
れる⁈
彼の唇が指が優しく私を抱いてくれたか
ら淡い期待をして私は賭けてみた…行き
ずりの関係ではないと…思いたい。
この時の私は、この恋に翻弄されるとも
知らずにいた。