姫 ~なくてはならないもの~






「……き。さつき。さつきってば!」

「え?」

「だから、誰に投票する?って聞いてるじゃん」

「あー、ごめん。どうしようかなー……」












 何て言いつつ、私はさっきの大野新の写真に目をやる。












「さっきからあの人の写真ばっか見ちゃって。もしかして惚れた??」

「ぅえ?!そんなことないよ!!」








 ぶんぶんと首を横に振る私を見て


 ユイは残念そうな顔をした。











「ユイは、誰に投票するの?」

「んー大谷くん、かなあ?」

「大谷くん?って?」

「昨日少しだけ喋ったの。ほら、あの人だよ」











 そう言ってユイがさした指の先にいたのは


 にかっと眩しい笑顔を向けた男の子。





 カッコいい、な。




 大野新とは違うカッコ良さがある。






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