姫 ~なくてはならないもの~
「さーつーきーチャンッ♪」
不意に後ろからぎゅっと身体が抱きしめられた。
耳元で囁かれて、顔が火照る。
誰?と思い振り向く。
振り向いた先にいたのは、茶髪に金がところどころ混じっていて、アクセじゃらじゃら。
ブレザー、ネクタイは当然のようにしていなく、Yシャツは第3ボタンまであいている。
ちゃらそうな男の人。イケメンではあるけど。
「きゃーっ!!一輝(カズキ)様よ!!」
「こっち向いてー!!」
「一輝様ーっっ!!」
誰かの叫び声とともに黄色い声が飛び交った。
何故か注目を浴びる私たち。
な……なんで?!
「だ、誰ですか!てゆか話して下さい!」
「うーん、この新鮮な反応、いいねえ」
なんて言いながら、チャラ男さんは私の腰に回っていた手を離す。