姫 ~なくてはならないもの~
目の前は、先ほどと同じ、ふかふかそうなソファ。高そうなガラスのテーブル。
「お前どういうことだよ」
奥の部屋に続く扉の向こうから声が聞こえる。
大野新の声のような気がして、私は奥へと進む。
少しだけあいていた扉を覗いてみると、なっちゃんと今にも掴みかかりそうな勢いの大野新。
あと数人の男子。
「あ、さつきちゃん……」
私の存在に気付いた相沢さんは、困ったように笑って手招きをした。
私、入って良い状況何だろうか……。
「失礼します」
一礼をして奥の部屋に入ると、みんなの視線が私に向いた。
は……恥ずかしい。
俯いている私の身体が急に重くなった。