姫 ~なくてはならないもの~
「わ、私なんかが姫だったらこの高校馬鹿にされますよ……」
精一杯考えた言い訳を口に出す。
それだけで私は凄く勇気を使った。
額は湿り、手は震え、声も震える
「いいんだよ。さつきちゃん。俺たちが良いって言ってるんだから」
相沢さんは笑いをこらえながら、私に優しくそう告げられる。
頑張れ、私。
「だ……だけど……っ!!」
「棗、お前のこと許したわけじゃねえけどなんでこいつ選んだかわかったわ。
俺、こいつが良い。姫」
言い返そうとする私の言葉をさえぎる大野新。
みんなの視線が私に向いて、誰に目を合わせてもこくっと頷かれるだけ。
「む、むむむむ無理無理!!」
「うるさい。僕がやれって言ってるでしょ?」