姫 ~なくてはならないもの~
私と大野新以外の生徒会のみんなが壇上に上がる。
そしてなっちゃんが先生からマイクを受け取れば
さっきまでの黄色い声が嘘みたいに静まりかえる。
「さつき、こっち来いよ」
なっちゃんのその声に私は小走りで壇上に上がり、なっちゃんの隣に立つ。
全校生徒の視線がこっちに向いていて手が汗でしめる。
「入学式でも話したが、宝生さつきが橘の正式な姫になった。
それともう1つ。新」
なっちゃんがそう呼べば、めんどくさそうにあくびをしながら
だるそうに歩いてくる大野新。
相変わらずネクタイはつけていない。
今日はさすがの桐生一輝もつけてるっていうのに。
「こいつが、生徒会書記に決まった。残りの役員は引き続きここにいるメンバーが行う。
以上、解散」