姫 ~なくてはならないもの~
生徒会室の扉を開けると、もうそこには4人の姿があった。
掴まれていた手首が離れ、それぞれの席に向かう。
ピリピリとした、空気が流れていた。
「あ、の、遅れてごめんなさい」
頭を下げたけど、この空気はなおらない。
私、そんな悪いこと、したかな……。
なんて思っていると、隣に座る彼が口を開いた。
「何回だ…………?」
「え?」
「今まで、こういうこと、何回あった?」
みんなが私たちに視線を向ける。
静か過ぎて、声が震える。
「呼び出されたのは、初めて……」
「じゃあ、嫌がらせとかは?」
黙っていた相沢さんも会話に入ってくる。
自分の言い方に今更公開したってしょうがない。
呼び出されたのは、なんて言い方したら、他のことはもっとあるみたいじゃない。
「別にないよ」