姫 ~なくてはならないもの~
「私が認められなかったのが、悪いんだからっ……。
私の、努力不足です」
深々と頭を下げる。
みんなの顔は見えない。
でもさっきより雰囲気がよくなったのを感じた。
「今日から、お前のことを必ず誰かが送迎することにする」
「そ、そんな!!」
申し訳ないこと、してもらえない。
顔をあげて、そう、続けるはずだった。
「姫を受け入れてもらったあとに言うのはずるいと思うんだけどさ、
さつきちゃんに聞いて欲しい話があるんだ」
唐突に、相沢さんから伝えられた言葉。
周りを見れば、もうみんな座っていたから私も席につく。
「姫制度がこの学校以外にあるのは、知っているよね?」
「はい、なんとなくは……」
この前、ユイが言っていたことを思い出す。
「橘の他、桜、柊、楓、それに椛。
楓とは昔から交友関係が続いているんだ。
桜、柊とも、それなりにやっている」
相沢さんがそこで、ふうっと息をはくから
私もその間にごくっと唾を飲み込む。
「問題は、椛なんだ……」