ねこにごはん【完】
「遅れてごめんよ~」
「ううん、全然気にしてないから」


これで相手が奈良くんだったら、呆れて溜め息を漏らすか、冗談で罰金を請求するか、軽くお説教の三択だというのに、菊地原くんに対してはこの甘やかしっぷりである。

うちで飼ってる猫にもデレデレしちゃう辺り、私は好きなものにはとことん過保護になる傾向があるようだ。
だって可愛いんだもの。叱りつけるなんて怯えさせるような真似できっこない。

菊地原くんはまたパンを食べていた。今日はクリームパンらしい。
前回もパンを食べながら来ていたけど、いつもお昼は購買で買ってるのかな?


「……パン好きなの?」
「だって菓子パン美味しいじゃ~ん」
「いつもお昼はそういうの食べてるの?」
「まあね~。最近はほら、奈良が奢ってくれてるからさぁ。ボク今月お小遣いギリギリだったから助かってるんだよねぇ」


もぐもぐとクリームパンを頬張る菊地原くんは申し分ない程にキュートだったけれど、それとこれとは話が別だ。
毎日菓子パンばかり食べていては栄養が偏ってしまうのではないだろうか?
朝と夜にどんなものを食べているかは知らないけど、この様子だと少なくとも昼食はバランスのとれた食事をしていないと見た。
運動部に所属している身でありながら、そんな不健康な生活は感心できないなぁ。
< 10 / 48 >

この作品をシェア

pagetop