ねこにごはん【完】
すれ違うふたり
私が美化委員ではなくなっても、当然の如く今まで通り菊地原くんと庭を訪れる日々は続いていた。
秋晴れのお陰で空気がやけに爽やかであった日のこと。
お弁当を食べている最中に、突然菊地原くんがポケットから何かを取り出した。
「じゃ~ん」
そんな効果音をつけて私に見せつけてきたのは学校の近くにあるクレープ屋さんの券で、可愛らしいデザインのそれには“お好きなクレープおひとつタダ!”と書かれている。
なんでも甘い物が嫌いな奈良くんから貰ったとかなんとか。
菊地原くんは自分が貰ったにも関わらず、この券をいつもお弁当を用意してくれている私のために使いたいと言う。まるで猫の恩返しだ。
券の有効期限はまだ余裕があったけど、なんせお互い放課後は部活動に励んでいる。
と思ったら、今はテスト前で部活が休みなのだということを思い出した。
予めそのつもりでいたらしい菊地原くんは、今日の放課後一緒に行くことを提案してきた。
勉強はしなくていいのだろうか?なんて心配に思いつつも、私はせっかくのお誘いを断れるはずもなく、というか断る理由など払いのけて、彼と共にクレープ屋へ向かった。
秋晴れのお陰で空気がやけに爽やかであった日のこと。
お弁当を食べている最中に、突然菊地原くんがポケットから何かを取り出した。
「じゃ~ん」
そんな効果音をつけて私に見せつけてきたのは学校の近くにあるクレープ屋さんの券で、可愛らしいデザインのそれには“お好きなクレープおひとつタダ!”と書かれている。
なんでも甘い物が嫌いな奈良くんから貰ったとかなんとか。
菊地原くんは自分が貰ったにも関わらず、この券をいつもお弁当を用意してくれている私のために使いたいと言う。まるで猫の恩返しだ。
券の有効期限はまだ余裕があったけど、なんせお互い放課後は部活動に励んでいる。
と思ったら、今はテスト前で部活が休みなのだということを思い出した。
予めそのつもりでいたらしい菊地原くんは、今日の放課後一緒に行くことを提案してきた。
勉強はしなくていいのだろうか?なんて心配に思いつつも、私はせっかくのお誘いを断れるはずもなく、というか断る理由など払いのけて、彼と共にクレープ屋へ向かった。