ねこにごはん【完】
向き合ったまま無言の私達の間を、冷たい秋風がすり抜ける。
菊地原くんがおもむろに口を開いた。
「――ねえ……」
「なに?」
「ボク福松のことが好き」
「私も菊地原くんのこと好きだよ?」
「どういう風に?」
「え?」
「ボクのことどういう目で見てるの?」
何か違和感があると思ったら、口調が少しだけ違うんだ。
聞いていて力が抜けてしまうような、ふにゃあとした語尾が失われている菊地原くんの表情はいつになく真剣である。
「……どうって、猫みたいで可愛いなあって」
率直な本心を告げると、菊地原くんは下唇を噛み締めてどこか辛そうな面持ちになった。
初めて見るその表情に私は戸惑うばかり。
「……やっぱり、そういう目で見てたんだ。多分それ、ラブじゃなくてライクでしょ?」
「あ、うん。そのつもりでいたけど」
「ッ、ボクは……!」
いきなり立ち上がった菊地原くんの膝からお弁当箱と箸が音を立てて落ちる。
驚いて目を見開いた私を見下ろして、菊地原くんは声を張り上げた。
菊地原くんがおもむろに口を開いた。
「――ねえ……」
「なに?」
「ボク福松のことが好き」
「私も菊地原くんのこと好きだよ?」
「どういう風に?」
「え?」
「ボクのことどういう目で見てるの?」
何か違和感があると思ったら、口調が少しだけ違うんだ。
聞いていて力が抜けてしまうような、ふにゃあとした語尾が失われている菊地原くんの表情はいつになく真剣である。
「……どうって、猫みたいで可愛いなあって」
率直な本心を告げると、菊地原くんは下唇を噛み締めてどこか辛そうな面持ちになった。
初めて見るその表情に私は戸惑うばかり。
「……やっぱり、そういう目で見てたんだ。多分それ、ラブじゃなくてライクでしょ?」
「あ、うん。そのつもりでいたけど」
「ッ、ボクは……!」
いきなり立ち上がった菊地原くんの膝からお弁当箱と箸が音を立てて落ちる。
驚いて目を見開いた私を見下ろして、菊地原くんは声を張り上げた。