ねこにごはん【完】
揺れる恋ごころ
明くる日、お昼休みになっても席を立てずにいる私のもとへやってきたのは、いつもの彼ではなく奈良くんだった。
そういえば、脚治ったのかな。なんて人のことを心配する余裕、今の私にはないのに。


「菊地原のヤツ、今日休みだから」


しかも無断欠席らしい。私はその言葉に心が痛んだ。

携帯に連絡をいれても返信がないらしく、奈良くんは何か心当たりがないかと訊ねてきたけど、本当のことを言ったら最低だと罵られそうで、それが怖くてつい口をつぐんでしまう。
そんな私の態度に自分の行動が無駄だと悟ったのか、奈良くんは「まぁ元気出せよ」なんて励ましをくれてから教室を出ていった。

せっかく気を遣ってくれたのにごめんね。
どうしようもない罪悪感に追い立てられながら、胸中で届かぬ謝罪をする。
すっかり食欲のなくなった私は、結局二人分のお弁当をクラスの大食いな男子にあげた。
そもそも、昨日あんなことがあったのに懲りずにお弁当を用意してくるなんて、私はなんて愚かなのだろう。
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