ねこにごはん【完】
街灯に照らされた菊地原くんは下唇を噛んで、何かを堪えているようだった。
その表情があの日声を張り上げた時の泣きそうな彼と重なって、目を背けたくなる。
話があると言ったのはそっちだ。なら私は黙っていても問題ないだろう。
そう決めて菊地原くんが口を開くのを待つことにしようとした矢先、
「嫌いになっちゃいやだぁ~……」
突然喚きだした菊地原くんに、私はオロオロしてしまう。
鞄を置いても行き場に困った手を妙に動かすことしかできず、そんな私の前で菊地原くんは大きく開かれた口から八重歯を覗かせ、目からは止め処なく涙を流していた。
わんわんと泣き続ける菊地原くんはカーディガンの袖で目元を拭いながら、一生懸命言葉を紡ぐ。
「ッ、いきなりちゅうしたり、お弁当落としたりしてごめんなさぁい……学校休んで逃げたりしてごめんなさいぁい……!」
「菊地原くん……」
「ちゃんと謝るからぁ、たくさん謝るからぁ……だからボクのこと嫌いにならないでよぉ~……」
その表情があの日声を張り上げた時の泣きそうな彼と重なって、目を背けたくなる。
話があると言ったのはそっちだ。なら私は黙っていても問題ないだろう。
そう決めて菊地原くんが口を開くのを待つことにしようとした矢先、
「嫌いになっちゃいやだぁ~……」
突然喚きだした菊地原くんに、私はオロオロしてしまう。
鞄を置いても行き場に困った手を妙に動かすことしかできず、そんな私の前で菊地原くんは大きく開かれた口から八重歯を覗かせ、目からは止め処なく涙を流していた。
わんわんと泣き続ける菊地原くんはカーディガンの袖で目元を拭いながら、一生懸命言葉を紡ぐ。
「ッ、いきなりちゅうしたり、お弁当落としたりしてごめんなさぁい……学校休んで逃げたりしてごめんなさいぁい……!」
「菊地原くん……」
「ちゃんと謝るからぁ、たくさん謝るからぁ……だからボクのこと嫌いにならないでよぉ~……」