ねこにごはん【完】
次の瞬間、私は菊地原くんを抱き締めていた。
肩を上下させている菊地原くんからは温かな体温が伝わってくる。
そっと頭を撫でてやると、菊地原くんは小さな声で私の名前を呼んだ。
二週間程度しか離れていなかったのに、とても懐かしい感覚。
この癖っ毛の髪に触れたのも、実際に経った時間よりずっと久し振りのことのように感じた。
「……ばか。嫌いになんかなるわけないでしょ」
「ほんとぉ?」
「ほんとだよ。私の方こそごめんね」
甘えた声を出した菊地原くんの背中をさすってやる。
嫌われたんじゃないかって不安だったのは私も同じ。
私だって本当は泣きたいくらい悲しかったんだよ。
すぐに謝れなかったことを後悔していたのも同じ。
菊地原くんを傷付けちゃった自分が情けなくて、新たに芽生えた感情に直面した時にはもう遅くて、できるものなら時間を戻してしまいたいと非現実的な幻想すら夢見てしまったほどだ。
こんな気持ちになるの初めてだから上手く対処できなかったけれど、私ね、気付いたんだ。
肩を上下させている菊地原くんからは温かな体温が伝わってくる。
そっと頭を撫でてやると、菊地原くんは小さな声で私の名前を呼んだ。
二週間程度しか離れていなかったのに、とても懐かしい感覚。
この癖っ毛の髪に触れたのも、実際に経った時間よりずっと久し振りのことのように感じた。
「……ばか。嫌いになんかなるわけないでしょ」
「ほんとぉ?」
「ほんとだよ。私の方こそごめんね」
甘えた声を出した菊地原くんの背中をさすってやる。
嫌われたんじゃないかって不安だったのは私も同じ。
私だって本当は泣きたいくらい悲しかったんだよ。
すぐに謝れなかったことを後悔していたのも同じ。
菊地原くんを傷付けちゃった自分が情けなくて、新たに芽生えた感情に直面した時にはもう遅くて、できるものなら時間を戻してしまいたいと非現実的な幻想すら夢見てしまったほどだ。
こんな気持ちになるの初めてだから上手く対処できなかったけれど、私ね、気付いたんだ。