ねこにごはん【完】
昔人見知り持ちだった私にとって、これは羞恥心を刺激する要因になりかねなかったけれど、拓実くんのことを思えばそんなもの一瞬で吹き飛んだ。
私ってばいつからこんな単純な人間になったのだろう。

お陰で可愛いもの好きということがみんなにバレても、思いの外冷静でいられた。
というか周囲の反応が私の予想とまるで逆だったのだ。

猫グッズを所持する私を意外だと笑う者は誰一人おらず、それどころか「そういうの好きそう」だなんて言われてしまったくらいで、所詮は私の被害妄想に過ぎなかったと知った時、無性に恥ずかしくなったのを覚えている。
まさかそんな印象を持たれているとは思わなかったけど、きっと可愛いの代名詞とも言える拓実くんが傍にいるのが大きな影響を与えたんじゃないだろうか。


「それじゃ庭行ってくるね」
「いってらっしゃーい。窓から見ててやるから、思う存分イチャついてきなさいよ」


ヒラヒラと手を振る友人に苦笑しつつも、拓実くんに手を引かれ教室を出る。
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