白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
「なんだよ。気になるじゃん」
言い躊躇うあたしを見て、柊が困ったように笑う。
聞こうと思ったけど、重いと思われたくなくてやめた。
「体育祭の種目、もっとたくさん出なよ」
違和感がないように、話しを繋げる。
「ああ、その話? 俺はリレーだけでいいよ。だって、この高校で初めての体育祭だし、よくわかんねぇもん」
「体育祭なんて、どの学校もあんまり変わらないでしょ? 柊は運動神経いいんだから、たくさん出た方がいいのに」
「ハハっ。俺は応援に回るよ」
柊は笑いながらも、あたしの足のことを気にして時々見てくれる。
「あともう少し、頑張れよ」
柊の優しい眼差しが、あたしにそっと下りてくる。
空には一番星が輝きはじめ、ゆっくりゆっくり家路を歩くあたし達を見守ってくれていた。