白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


ずっと1位をキープして、柊の番だ。


柊は、クラスメイトに「こっちこっち」と言うように手を上げ、近づいてきたら体を前にして手を後ろに伸ばす。


タイミング良く走り出してバトンを受け取ると、まるで風になったかのように軽く走り出した。


足が長い柊。


少しの回転でも人より多く進んでいるような気がする。


キレイな走りのフォーム。


無駄がない……。


完全に、風と一体化している。


カッコイイ。


あの頃よりも体格がよくなっているから、余計にカッコイイ。


バトンは次々に渡り、もうマキまで回って来た。


マキもハルと柊同様、あまり緊張もせずにカッコよくバトンを受け取って走り出した。


この3人は本当に何でもできるから羨ましい。


あたしなんて、何をやってもうまくいかないのに……。


何かひとつでもうまく出来る才能が欲しい……。


とうとう、あたしの番だ。


ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド。


心臓が大きく暴れるので、膝が笑い立つことさえ困難。


喉もカラカラ。


極度の緊張で水分が蒸発した気がする。




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