白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


お願い!!

あたしの足、あと少しだけ頑張って!!


あたしは、奥歯を噛みしめながら必死に走った。


痛みに冷や汗が出て、周りの声も遠くなっていく。


走らなきゃ。


クラスのみんなには、もう治ったって言ってあるんだ。


ここであたしが走れなくなって棄権なんてことになったら、クラスのみんなに迷惑がかかってしまう。


みんな必死に頑張ってる体育祭だ。


あたしのせいで、台無しにはできない。


あたし、頑張れ……。


その後、どうやってバトンパスをしたのか覚えていない。


きちんと1位を守ることが出来たのかも……。


何とか走り切りフラフラとクラスの列に戻ろうとした、その時。


力の入らなくなった膝がガクガク震えだし、その場に崩れ落ちそうになった。


「……っと」


あたしの体を支えてくれたのは、真剣な表情をした柊だった。


「おい! 大丈夫か!?」


すぐに、ハルとマキも駆け寄ってきた。


「ちょっと、ユキ!! 足、また腫れてきてない!?」


マキがあたしの足を見下ろして目を丸くする。



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