白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
「……柊、ごめんね。ありがとう」
足を引きずりながら歩きながら、隣の柊に言う。
柊は心配そうに微笑み、細かく頷いた。
「ところで、ウチのクラス何位だった?」
「え? なに? まさか覚えてないの?」
「うん……。走りきるのに必死で、実は覚えてない」
あたしが苦笑すると、柊はしょうがないなというようにフっと笑った。
「俺ら、1位だったよ」
「本当に!?」
「うん。雪羽が頑張ったおかげで」
そう言って、柊の大きな手が、あたしの頭に伸びてくる。
ポンと優しく手を当てて、柊は目を細めて微笑んだ。
よかった。
あたし、抜かれされてなかったんだ。
本当によかった。
「足」
柊のボソリと呟いた声が、グラウンドからの賑やかな声と明るい音楽に溶け込んで、あたしは柊に耳を傾けた。
「足が治るまで、一緒に帰ろう」