白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
初めてのバイト
「あっつ~」
体育祭も終わり、1学期には楽しい行事もなく夏休みを待つだけになった。
7月。
何の楽しみもなくなったクラスで、朝からハルがあたしの机の上にお尻を乗せ下敷きで顔を扇いでいる。
「ちょっと! 人の机の上で仰がないでよ!! 汗臭い!!」
あたしは朝からハルに怒鳴り、わざと鼻をつまむ。
教室の窓は全て開けているのに、風という風は全く入って来ない。
あたしもハルと一緒になって、夏服の白いシャツの胸元をパタパタと仰いで体の中に風を入れ込む。
ふたりで仰いでいると、あたしの2つ隣に座るマキが苦笑した。
「あんたら、何同じ行動してんの? 双子みたい」
「「双子じゃない!!」」
マキの言葉に、あたしとハルの言葉が重なる。
あたしはハルと目を見合わし、お互いチッと舌打ちした。
別にお互い本気でキレてるわけじゃないのに、舌打ちまでも同時でふたりしてハハハと笑った。
それをあたし達の後ろで見ていた柊も、クスクス笑っていた。