白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
「なんだ、ちゃんと成長してんじゃん」
ハルが、隣のレジからあたしを見て感心したように言う。
「まだ緊張はするけど、でも隣にハルがいてくれるから心強いし」
あたしがにっこり笑うと、ハルが一瞬驚いたように目を丸くした。
そして、すぐにあたしから目を逸らし何か仕事がないかと辺りをキョロキョロし始める。
「よかったな。俺がいて。俺がいなかったら、今頃篠原ひとりで泣いてるだろ?」
「うん……。多分、本気で泣いてるかも。不安に負けてさ。ありがとね、ハル」
ハルがまた、驚いた表情であたしを見る。
なぜそんな表情をするのかわからなくてあたしがキョトンとすると、ハルはハッと慌ててレジの周りをそわそわと拭き始めた。
別に汚れてるわけでもないのに……。
「ああ、そうだ」
ハルはカウンターを拭く手を止めた。
「来週の夏祭り、今年も行くだろ?」
「え? ああ、うん。バイトも休みみたいだし。ハルは?」
「俺も休み~」