白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
くじ引きでいいと思う。
だって、推薦だったら、柊に票が集まるに決まってるじゃん!!
そしてそれを狙うかのように、女子がヒロインになりたいと急に群がるんだから。
そんなの目に見えてる。
それよりは、くじ引きの方が諦めがつくし。
廊下側の席から順に、教卓の上に置かれた箱の中から、クジを引きみんな恐る恐る引いていく。
男子と女子で箱が分かれていた。
その紙には、ヒロインとヒーロー以外にも他の役割が書かれていて「俺、大道具~」だの「あたし、家来役~」だの、紙を広げて騒いでいた。
「え……俺、ヒロインに仕える執事役なんだけど」
「あたし、ヒーロー家のメイド……」
クジを引いたハルとマキがお互い目を見合わせ苦笑いする。
「何だよ!! せっかくなら目立ちたいのに執事役って!!」
ハルが教卓の前で地団駄を踏むと、ドッと笑いが起こった。
「ハルは執事役っていうより、なんか小鳥をたくさん飛ばしたりとか紙吹雪を落としたりとか黒子役的なのが似合ってるのにね」