白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


文化祭の役割が決まった翌日、早速劇の練習が始まった。


部活がある人以外は、放課後残って教室でセリフ合わせ。


あたしと柊は、まず衣装の確認からということで、今ふたりで演劇部の部室に向かっている。


去年、似たような劇をした先輩達がいたらしく、その衣装がまだ使えるか見てきてと先生に言われたんだ。


もし破けたりしているところがあれば、修理が必要だからと。


職員室で借りてきた鍵でドアを開け、なぜかこっそり中を覗き込む。


「なんで、そんな怯えたように覗き込んでるの?」


あたしの行動を見て、柊が苦笑いする。


「あ、いや、なんか、ちょっと緊張して」


あたしは顔を歪めて、こめかみをポリポリかく。


「緊張? う~ん、言われてみれば少し緊張するかもね。俺、演劇部の部室とか初めて入ったし」


そう言って、柊が先に中に入っていく。


そういう緊張もあるけど、あたしはまた別な意味で緊張してるんだよ。




< 179 / 297 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop