白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
文化祭の役割が決まった翌日、早速劇の練習が始まった。
部活がある人以外は、放課後残って教室でセリフ合わせ。
あたしと柊は、まず衣装の確認からということで、今ふたりで演劇部の部室に向かっている。
去年、似たような劇をした先輩達がいたらしく、その衣装がまだ使えるか見てきてと先生に言われたんだ。
もし破けたりしているところがあれば、修理が必要だからと。
職員室で借りてきた鍵でドアを開け、なぜかこっそり中を覗き込む。
「なんで、そんな怯えたように覗き込んでるの?」
あたしの行動を見て、柊が苦笑いする。
「あ、いや、なんか、ちょっと緊張して」
あたしは顔を歪めて、こめかみをポリポリかく。
「緊張? う~ん、言われてみれば少し緊張するかもね。俺、演劇部の部室とか初めて入ったし」
そう言って、柊が先に中に入っていく。
そういう緊張もあるけど、あたしはまた別な意味で緊張してるんだよ。