白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
「これ、どの箱に入ってたんだ? 見つけられてよかったな」
今のアクシデントなんてなかったかのように、柊があたしに笑って話しかける。
それであたしも少し気分が軽くなり、柊に微笑み返した。
まださっきのドキドキの余韻は残ったままだけど、心臓が壊れそうなほど緊張はしていない。
柊は見つけた衣装を腕にかけてから、まだ床に座り続けるあたしに手を伸ばしてきた。
「姫。保健室に参りましょう」
柊は冗談交じりに言い微笑む。
柊から出た言葉が面白くて、あたしも笑いながら彼に手を伸ばす。
力強く引き上げられ、ふたりで微笑みあった。
少し、近づけたかな……?
なんか、今までと少しあたし達の関係が変わったような気がしたけど、それはあたしの勘違い?
この狭い部室にふたりっきりだったせい?
このアクシデントで、少し以前のように戻ったのなら、幸せだ。