白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


翌朝。


起きて熱を計ったら、微熱だった。


学校に行けない程じゃない。


喉も、扁桃腺が少し腫れているような気がしたけれど、昨日よりは痛くないし、問題ないと思う。


劇の練習もしないといけないし、もしキツくなったら、保健室で休めばいいもんね。


あたしは昼食後の薬を持って家を出て、体育以外の授業には全て出た。


薬を飲んだからか、楽になってきてるような気がする。


よかった。


大した風邪じゃなくて。


あたしは安心して、放課後の練習に参加することにした。


昨日の続きからだ。


王子と姫の結婚は決まっていたのに、国の争いのせいで結婚ができず、離れ離れになることに苦しむシーン。


台本には“涙を流す”なんて書かれているけど、女優じゃあるまいしそんな簡単に涙なんか流せるはずがない。


愛する王子と泣く泣く離れることを決意した姫が、ハルの演じる執事に支えられて切なく涙を流すシーンだ。


執事は、姫の唯一の理解者。



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