白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
ふわふわ、ふわり。
通学途中にある、大きな桜の木の下。
膝上のグレーの制服が、春の花々の甘い香りを運んできた風に揺れる。
桜の花びらが、まるでシャワーのようにあたしの頭上に舞い落ちてくる。
ピンク色の木を見上げ目を閉じると、桜の枝が風に揺れる度に差し込む朝日が、瞼の向こうで輝いた。
「おい!! そんなとこにボーっと突っ立ってると、遅刻するぞ!!」
突然、馴染みのある声が聞こえ、耳がピクリと反応する。
振り返るとそこには、制服を着崩したハルが立っていた。
叶 ハル。高校1年の時に同じクラスになって、仲良くなった、唯一の男友達。
新学期だって言うのに、グレーのジャケットはただ羽織っただけ。
シャツはズボンのウエストから少し出していて、全くしまりのない格好だ。