白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
静かになった、いつものあたしの町。
柊がこの町を去った以外には、何も変わりはない。
行っちゃった……。
もう明日から、彼はあたしの隣にいない。
違う町で、新しい日々をスタートさせるんだ。
クルリと後ろを振り返ると、雪の残ったアスファルトにバスの走ったタイヤの跡と、必死で駆けたあたしの足跡が残っていた。
桜の木の下には、柊の足跡も残っている。
雪が溶けるまでは、ここに彼の足跡が刻まれたまま。
溶けないでほしい。
冬が終わらないでほしい。
ここに柊が確かにいたんだという証を、ずっと残していたい。
ずっとずっと、あたし達はこのままでいられるんだという証を……。