白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


どのくらい、ひとりで泣いていただろう……。


冬の空はいつでも薄暗く灰色だから、時間の感覚がわからない。


黒板の上の時計を見ると、もう6時前を指していた。


30分くらいはこうしていたんだ……。


なにを考えるわけでもないのに……。


日誌、職員室前の廊下に落としたままだ……。


誰か気づいて先生に渡してくれますように。


泣いた瞼が重たい。


変な気だるさで眠気も襲って来るし……。


帰ろう……。

帰って寝て、明日を待とう。


もしかしたら、これは夢かもしれない。


転校なんて嘘かもしれない。


こうやって教室でボーッとしている間に見た、ただの夢。


そう信じたい……。


誰もいな寒い廊下をトボトボ歩き、靴箱まで向かった。


赤いマフラーに顔を埋め、背中を丸くする。


窓の向こうから聞こえるヒューヒューと鳴く、悲しい風の音。


この音を聞くだけで、身震いしてしまう。




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