白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
乾いた冷たい空気のせいで、歩いて目に風が当たるたびに、涙がジワリと浮かぶ。
早く帰ろうと小走りで靴箱の廊下の角を曲がろうとした、その時。
あたしはハっと息を飲んで、咄嗟に廊下の壁に体を隠した。
靴箱の前に、ハルと柊が向き合って立っていたんだ。
ハルと柊……?
こんなところで何してるの?
とっくに帰ってたんじゃなかったの?
柊は先生と職員室で話していたとして、ハルはHR終わったらすぐに教室を出て行ってたじゃん。
それなのに、なんで?
あたしは静かな廊下にあたしの呼吸が響かないように、グッと、赤いマフラーの中に口を埋めた。
ふたりの話し声が、小さく聞こえてくる。
「最近、篠原とちゃんと話ししてる?」
ハルが柊に聞く。
「え、なんで?」
柊が、少し笑いながら聞き返していた。
「いや……別に、なんて言うか、篠原のわざとらしい態度見てるとさ、こっちが辛くなるっていうか……」
……ハル。
「そう? 別に普通じゃない?」
柊がサラリと軽く答えると、ハルの「は?」とういう驚いた声が聞こえてきた。