白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
「おまえには、あれが普通に見えるの?」
「特に変わった様子はないけど?」
柊のあまりにも軽い答え方に、胸が軋んだ。
特に変わった様子に見えないのはいいことなのかもしれないけど、それだけ、あたしのことを考えてないってことだよね……?
「おまえ、篠原の気持ち知ってるんだろ?」
「…………」
「それなのに、おまえには普通に見えるんだな」
ハルの声が、どんどん荒々しくなっていく。
どうしよう……。
これ以上ここで会話を聞いていても、ただ傷つくだけ……。
だけど、ふたりが靴箱にいるせいでどこにもいけないし……。
「聞いてないよ」
「……は?」
ハルの、キレた引く声。
「俺は、雪羽から気持ちなんか聞いてない」
ズキン……。
心臓を、握りつぶされた感覚になった。
「わかんだろ? それでも」
こんなに低いハルの声を聞いたのは、初めてかもしれない。
「見てればわかんだろが!! 篠原はおまえが好きなんだよ!! 昔も今も!! なんでそれを見て見ぬフリができんだよ!!」