白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
ドンっ!!
鈍い音がしたから少しだけ顔を壁から出して見ると、ハルが柊の胸ぐらを掴んで靴箱に柊の体を押し当てていた。
……ハル。
「俺、体育祭ん時言ったよな? あいつを好きな者同士同じ仲間として堂々と一緒に闘おうって」
……え?
好き……?
ハルが? あたしを?
体育祭の時、妙に仲がいいなって不思議に思ってたけど……。
ハルが、あたしを好きだって……?
「がっかりだよ!! おまえみたいな最低なヤツと闘おうなんて思った自分にがっかりだよ!!」
また、ドンっと鈍い音が聞こえる。
柊の背中が何度も何度も靴箱に当たる音だろう。
「ふざけんなよ……」
ハルの声が、段々涙声で震えてきた。
「篠原の気持ちも考えてやれよ。ずっとおまえのこと待ってたんだぞ? あの桜の木の下で、篠原はどんな気持ちでおまえのことをずっと待ってたと思う?」
「…………」
「いつも泣きそうな顔で木を見上げて、それでも俺を見るときには無理に笑顔を作るんだ」
ハルの言葉に、ジワリと涙が浮かんできた。