白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
「俺なら、篠原にあんな顔をさせないのにって、悔しくて悔しくて……」
「…………」
クっと、涙をこらえる、ハルの声……。
「おい!! 黙ってないで何とか言えよ!!」
「…………」
「喧嘩売ってんのかよ!! なんで何にも答えねぇんだよ!! 本気で殴るぞ!!」
「殴れよ」
「……は?」
「殴りたいんだろ? 殴れよ。それでおまえの気が済むんだろ? 俺はおまえに何を言われようと、気持ちは変わんねぇよ。ほら、早く殴れ……」
バキッ……ッ!!
痛々しい音のあとに、ガタガタと崩れ落ちるような音が聞こえ、あたしはサッと壁から出た。
怒りで、激しく肩で息をしているハル。
その前には、顔を歪めて口元を押さえ、コンクリートの上に倒れる柊の姿があった。
ふたりは突然のあたしの登場に、とても驚いている様子だった。
「篠原……」
ハルの目が丸くなる。