白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
初めてハルに名前で呼ばれ、あたしは驚いて思わずひどい泣き顔で振り返ってしまった。
眉間にシワを寄せると、余計にボロボロ頬に涙が転がってしまう。
あたしは唇をグッと噛み締め、これ以上人の前で泣かないように奥歯を食いしばる。
「何でだよ……」
「…………」
「何で、そんな顔すんだよ……」
苦しく唸るような、ハルの声。
「どうしていつも、古賀のことで苦しむんだよ」
あたしの泣き顔を見るハルの表情が、とても悔しそうだ。
「どうしてそんな想いまでしてアイツが好きなんだよ」
「そんなの、ハルには関係な……」
「関係あるよ!!」
ハルが突然大声を出したので、あたしはグっと目を丸くして驚いた。
興奮したハルの口から、大量に白い息が出ている。
あたしの口から出た弱々しい白い息と、ハルの口から出る激しい白い息がぶつかり合い、途中でフワリと消える。
目の前には、チラチラと雪がチラつく。
ハルの大声のせいで、キンと耳鳴りがした。
ハルは怒りをぶつけるところがなく、乱暴に後頭部をかいていた。
一瞬ボサボサになった髪が、重力で次第に元に戻っていく。