白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


「ごめん、ハル……。あたしにとってハルは、大切な友達だよ」


「…………」


「……ごめん」


ゆっくりと、ハルを見上げる。


ハルはとても真剣に、だけど、どこか泣きそうな表情であたしを見ていた。


寒さのせいで鼻の頭が赤くなっていて、雨に打たれた子犬のような眼差しだ。


「そんなに古賀が好き?」


ハルに聞かれて、眉間がピクリと動く。


「古賀のどこがそんなにいいの?」


柊の、どこが好きかって……?


「そんなに泣いてまで想い続けるほど、アイツっていい男か?」


あたしはまた雪で覆われたアスファルトに視線を落とした。


……正直、わからなくなった。


柊がどんな人だったかも思い出せないくらい、さっきのことがショックだった。


冷たい言葉で、あたしが好きだった柊とは違ったんだ。


あんなのは柊じゃない。


本心じゃないと思いたいよ。


”肩の荷がおりた“


柊の言葉が頭を過るたびに、激しく頭を振って振り払いたくなる。




< 262 / 297 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop