白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


「俺が告ったことだけは、忘れないで。俺、本気だから」


……ハル。


「俺、今振られたなんて思ってないから」


「…………」


「また、いつか返事を聞くつもりだから」


ハルの目は、あたしを捕らえて動かなかった。


あたしも、逸らすことが出来ない。


ハルはしばらくあたしの目を真剣に見たあと、スっと、あたしの横をすり抜けて走って去って行った。


ハルが走るたびに、雪が潰れる音が響く。


ひとり残されたあたしは、おでこを押さえてため息をつく。


どうしてこんなことになるんだろう。


なにひとつ、うまくいかない。


問題は次々に発生していくのに、その解決策は何もなかった……。





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