白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


最後にここで会話をしたのは、9月だった。


それからはずっと、ラインもしないまま。


もう、ここに新しい会話が表示されることはないと思う。


明日、柊は出発してしまう。


ラインの画面を見つめて、キーボードに指を重ねた。


“元気でね”


短い文字を打ってみたけど、すぐに×印を押して、文字を消していく。


「メッセージ打つ必要、ないよね……」


小さく言いながら、涙がジワリと浮かんできた。


「明日か……」


明日になれば、また、離れ離れになる。


今度は、もう本当に二度と会えないかもしれない。


あの頃よりは、少し大人になった。


もう子供じゃない。


だけど……。


高校生のあたしには、遠く離れた人に会いに行けるほどのお金はない。


バイトしても、難しい。


やっぱり子供で、まだまだ無力。


考えて考えて、とことん考え抜いたはずなのに、結局、お別れは明日だ。


どうしたら、いいんだろう。



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