白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
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『篠原さん……』
雪で真白に染まる桜の木の下で、隣のクラスの古賀くんに呼びとめられた。
確か、古賀くんだったと思う。
話したことはないけど、女子から人気があるから名前と顔だけは知っていた。
周りの男子とは違って黒髪を少し整えているし、目元もクリっとしていてどちらかと言うと可愛い系男子。
スポーツも何でも出来て、みんなの中心的存在の人だ。
あたしもちょっと、彼が気になってたんだ。
『なに……?』
緊張した。
話したこともない男子から声を掛けられて、しかもそれが気になってる古賀くんだから尚更だ。
あたしはセーラー服の首元に巻いた赤いマフラーに顔を埋め、少し肩を上げ上目づかいになる。
寒さのせいで、ふたりの口から真っ白な息が出る。
古賀くんの鼻はてっぺんが真っ赤。
頬もほんのり、赤くなっていた。