白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


「…………」


「俺は、古賀を一途に、真剣に想い続ける篠原が、好きなんだ」


そう言って、ハルが優しく微笑んだ。


泣いて、少し赤く腫れた目を、下に垂らしながら……。


「早く行けよ!! マジで間に合わなくなる」


ハルが、あたしの肩に手を置いて、バス停の方に体を向かせた。


あたしは背中を押されながら、首だけを後ろに向ける。


「ほら、急げって!!」


「で、でも!!」


今すぐに柊のところに走って行きたいけど、ハルのことも気になる。


ハルの笑顔が悲しげで、どうしてもひとり残して行きづらかった。


「心配すんな。俺は大丈夫」


ハルがニッコリ笑う。


「俺、フラれたけど、スッキリしてんだ。ちゃんと気持ち全部伝えらたから」


「…………」


「だから、篠原もスッキリしてこい!! 篠原はうまく行くんだから。な?」


ハルがあたしに言い聞かせるように、眉を上げる。


あたしはゴクリと唾を飲み込み、深く、強く頷いた。


ハルがあたしの頭をワシャワシャ撫でる。




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