白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
「……雪、羽」
口と目を大きく開き、柊があたしを見上げる。
さっきまでダランと座っていた体勢を、すぐに整えた。
あたしはまだ呼吸を整えられず、驚いて目を丸くする柊を見下ろしながら肩で息をした。
「よかった……。間に合った」
声を出すのも、精一杯だ。
「どうして、来たんだよ。それに……そんなに走って……」
柊の目が、とても切なげに細くなった。
呼吸を整えるのに少し時間が欲しかったけど、そんな余裕はない。
早く言いたいことを言ってしまわないと、電車が来てしまう。
「柊。全部、ハルから聞いたよ」
あたしが言うと、柊はハッとしてあたしから目を逸らした。
「どうして何も言ってくれなかったの!? どうしてわざとあたしを遠ざけるようなこと……」
大声で早口で言うと、何事かと、周りからの視線が刺さった。
「……ごめん」
あたしが小さく謝ると、柊の眉間がピクリと動いた。
「こんなこと言いに来たんじゃ……」
時間がない焦りで、何を言いたいのか頭がパニックだ。