白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


あたしが少し口角を上げると、柊は唇を噛み締めて最後に涙を流した。


電車が大きな音を立ててホームに入ってきた。


ゆっくりゆっくり止まり、ドアが開く。


「柊、早く!! 荷物取らないと!!」


ずっとベンチに置きっぱなしにしていたボストンバックをあたしが取りに行こうとしたら、柊に腕を掴まれ、すぐに、唇が触れた。


振り向いてすぐのキスだったので、目もグッと丸めたままでムードも何もない。


だけど、柊の唇がとても優しくて、幸せだった。


ほんの短いキスをして、柊は急いでボストンバックを持って、電車に乗り込んだ。


するとすぐにドアの閉まる音が響き、あたし達の間に一枚の壁の距離ができた。


「絶対会いにいくから!!」


ドアの向こうの柊に叫ぶ。


柊はコクンと大きく頷いた。


「それまで柊が向こうで待ってて!!」


また、柊がコクンと頷く。


電車がゆっくり走り出し、あたしも少しずつ足を横に走らせた。


どんどんスピードを上げていく電車。


あたしは手を振りながら、柊を追ったけど、限界がある。



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