白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


ドックン。


心臓を掴まれた。


彼に笑顔の花が咲いた瞬間、寒いはずなのに、体中が熱を持ち出す。


『篠原さん! 好きです!!』


『……ッ!?』


古賀くんがグッと一歩前に出て、力んだ声を出した。


ド、ド、ド、ド、ド、ドと加速する鼓動が、あたしの全身を震わせる。  


『よかったら、俺と付き合ってくれない?』


不安そうに眉をハの字に垂らして、少し上目づかいであたしを見てくる。


笑顔になったり、不安そうな表情になったり。


前から気になる存在だったけど、今この瞬間に恋心に変わった。


『うん』


どう返事をしたらいいのかわからなくて、あたしは短く小さく答えた。


可愛げがないかもしれないけど、極度の緊張で、『うん』と答えるだけで精一杯だった。




< 29 / 297 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop