白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
ジワリと、涙が浮かんでくる。
「中学の時、俺が告白したのも桜の木の下で、離れ離れになったのも、桜の木の下だったし」
「……うん」
「桜の木って、俺らの人生になくてはならない木だろ?」
「……うん!!」
本当にそうだ。
あたし達の成長に、桜の木は必要だった。
いつも一緒にいてくれた木だった。
「これから、多分この木にお世話になるだろうからさ。だから、この木の下で誓わせて」
「……はい」
あたしは、溢れる涙を手で拭って、グッと柊を見上げた。
柊はあたしの手から箱を取ると、そっと指輪を取り出し、あたしの左指を握った。
ゆっくりゆっくり、あたしの左指に、シルバーの指輪がはまっていく。
「サイズ、ぴったりでよかった」
柊が目尻を垂らす。
あたしは、左手を空にかざして指輪を眺めた。
空との間にある桜の木が、カサカサと風に揺れてなく。
その度に、溶けた雪の雫が頭に落ちてきて、ヒンヤリした。
「雪羽」
「はい……」