白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
柊は机の上に置いたスクールバックに両手を置き、スマホをいじっている。
その何でもない柊の姿を、クラスの女子達がチラチラ見ていた。
女子達の柊を見る視線が辛くて、こめかみをポリポリかいて目を泳がせながら咳払いをする。
知ってる……。
柊は、中学の頃からモテてたから。
あの頃はあたしが彼女だったから周りの目なんて気にならなかったけど、今のあたしは柊にとって何でもないから……。
いつ、他の人のものになるか、わからない……。
「あっつ~!! つーか、セーフ!!」
朝の予鈴がなるギリギリに、教室の前のドアから滑り込んできたハル。
スクールバックをリュックのように背中に背負い、華麗にターンをを決めていた。
腰には脱いだグレーのジャケットの袖を巻き付けていて、白いシャツは肘まで捲られている。
朝からチャラい格好で登校してきたと思ったら、自分の机にスクールバックと腰に巻き付けていたジャケットを放り投げすぐにあたし達のもとにやってきた。