白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


「おはよ。今日めっちゃ暑くない?」


あたしの机の横でシャツの胸元をパタパタと仰ぎ、体に空気を入れている。


彼の額にはうっすら汗が滲んで、前髪が張り付いていた。


「そんな暑くないよ。どーせ、遅刻寸前で走って来たんでしょ?」


あたしが呆れて言うと、ハルはあたしに人差し指を向けて「正解!」と自慢げに言った。


「篠原、テスト勉強やった?」


ハルが、肘まで捲った袖口で額の汗を拭いながら聞いてくる。


「ちょ~っとね」


あたしが親指と人差し指を薄い紙でも挟むようにくっ付けると、ハルとマキが苦笑する。


「ユキのちょ~っとねはしてないのと一緒だからね」


クククと、マキが笑う。


「俺、山はったよ! 山!! もうそれに懸けるしかないね」


「また無駄なことを」


あたしが鼻で笑うと、ハルは少しムキになって眉を寄せた。


「全くやらないよりはマシだろ? 新学期早々赤点とりたくないし。なぁ? 古賀」




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