白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


席に戻ってからも、横を向いて隣の男子とペチャクチャペチャクチャおしゃべり。


マキも席に戻ってしまったので、ひとりどうすることも出来なくて、ぎこちなく柊を盗み見る。


ヒィッ!!


柊と目が合ってしまった。


突然しゃっくりが出たかのように、体が跳ねる。


挙動不審なあたしを見て、柊が小さく笑った。


「赤点、取らないように気をつけろよ」


ボソリと、柊が呟いた。


その瞬間、あたしの血液が体内で暴れ出した。


急激に細胞分裂してるんじゃないかと思うくらい、体の中がザワザワし始める。


あたしはただ細かく何度も頷くだけで、声を出すことは出来なかった。




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