白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
さすが、柊……。
やっぱり、全てお見通しだ。
もう何も言えなくなって、困り果てて目を瞑りながら下を向く。
すると、柊はハッと笑ってあたしの頭に手を伸ばしてきた。
ワシャワシャと頭を撫でられ、髪が絡まる。
「嘘だよ、嘘。久しぶりにからかいたくなっただけ」
トクントクントクン。
鼓動が、温かく幸せに満ちる。
大好きな彼の笑顔が、目の前にある……。
あたしは呆然としながらボサボサになった髪を力なく整え、思わず目を逸らす。
「テスト、お疲れ様。アイツ、叶が待ってたぞ。早く教室に行ってやれ」
柊はクールに右手を上げると、軽快に階段を下りて行った。
タンッタタンっと響く柊の足音。
踊り場を曲がって柊の姿が見えなくなっても、その足音だけは聞こえていた。
“久しぶりにからかいたくなっただけ“
どうしよう。
幸せだ……。